1月
20
2014

ゼロ・グラビティ


最近、facebook等のSNSで友人達が「ゼロ・グラビティ凄かった!」と投稿しているのを何度も目にしました。

「本当に凄い映画だった。」
「友達と一緒に見に行ったけど、見終わって二人とも言葉を失って暫くしゃべれなかった。」
「飲み物買って行ったけど一口も飲まなかった。」
「映画館で絶対見た方が良い」(今思うと3Dで意味だったのかも)

皆が口を揃えてこの映画を賞賛します。
今までこんなに皆が同じ様な感想を述べるのは初めてだったので、私も見てきました。

確かに凄い。凄かった。
でも私が想像していた「凄い」とは少し違った。

とにかく映像が凄い。

迫力満点で、ハラハラドキドキ。
一難去って、また一難。
一息つく暇もありませんでした。

(なるほど、これは確かに飲み物飲めないわ。)

本当に宇宙で撮影してるのかな?と思うくらい映像が凄くリアルで何処がCGなのかわからないくらいです。
さすがに宇宙は無いと思いますが、無重力の空間で撮影したのかな?

映像が主人公から見える視界切り替わったり、グルグル回る宇宙服のヘルメット?部分に反射する地球だったり、細部までリアルに再現されていると思いました。

宇宙=無重力 宇宙船内=重力
漆黒で広大な宇宙の無音の世界観、宇宙船内の酸素がある空間への切り替えをサントラを通じて体験出来た気がしました。

確かに映像・サントラが凄いのです。
でもストーリー性を感じる事が出来ませんでした。

「確かに皆が言う様に凄いのだけど、このモヤモヤした気持ちはなんなのだろう??」

帰ってきてから他の方々のレビューを見ました。

歴史に残る傑作

3回観ました。
1回目は映像と音楽に圧倒され。
2回目は演技と言葉に涙し。
3回目は純粋に酔いしれました。

美しい3D超絶映像は、パラダイムシフトの先駆け
考え抜かれた脚本は、きっと純文学
心に響く名曲
サンドラとジョージの名演技
そして、テーマ性
これぞ総合アート、歴史に残る傑作です。

静寂と漆黒の宇宙から見える、青い地球の美しさ。
そこを舞台に繰り広げられる360度サバイバル。
それだけではありません。

主人公はメディカルエンジニアのライアンストーン博士
きっと対外的にはエリートで、幸せそう。
でも、親には男の子を望まれ、名前はライアン
きっと離婚していて、可愛い子供を4歳で亡くし喪失感、
生きる意味を失って寂しげ、心を閉ざしています。

ライアンと対極的に、陽気なベテラン宇宙飛行士マットは、
酸いも甘いも十分経験してきたからでしょう。
妻に裏切られたのを、笑い話にするほどの大人です。
マットは無償で自分の命を賭して、ライアンを助けます。
再生のきずきを与えて。

レビューの星が両極端なのは、その人の持つ経験、主観の違い。
物事の本質が見えない方
勧善懲悪パターンがお好きな方には
言葉が通じないアニンガとの交信と同じ、全くかみ合わない。

各国の宇宙船に神を象徴する物が映るけど、ライアンは神様を
信じてない。
だって現実は混沌としていて、善悪さえもコインの裏表だし。
主観のフィルターで、同じものが見えたり見えなかったり。
ブルーとブラウンの目の色のくだりがそうだし。
消火器やパラシュートはピンチにも、チャンスにもなるから。
それらを受け入れて、皆懸命に生きている。

最も好きなシーン
生きることをあきらめたライアンに、赤ちゃんの声と子守唄、
これで終わりかなと、はかない。
するとマットが現れ「生きることをあきらめるな」の啓示
生きる意味を悟ったあとのライアンの晴れやかな表情、笑顔さえ。
生をあきらめないライアンが、マットに「娘に愛を伝えて」の
シーンは泣けます。
きっと誰にでも、見えないものが見えるようになる瞬間があって
それが、人にいつ訪れるか分からないけど。

実は、明日生きているかなんて、誰にも約束されていない。
命のグラビティを感じ、今ある生を、全うしなければならない。
代々繋ぎ、支えてくれた人のためにも。
あたりまえに生きていることが奇跡で「人生は旅」のメタファー
ライアンが宇宙から問いかける「エブリバディプリーズコピー」は
私たちへのメッセージなのかも知れません。

なるほど…と、思いつつ私も二回、三回見たらこの人の様な感想になるのかもしれません。
必ずしも勧善懲悪を望んでいる訳ではないのです。でも噛み合ないのは何故?

そんな時、このレビューを読んでハッとさせられました。

ストーリー至上主義者に騙されないで!!

「映画はストーリーが一番重要だからこの映画は評価されるべきではない」
こう言って低評価を下す人たちがいますが、そんなの誰が決めたんでしょう?
映画はもっと自由なもののはずです。重厚で深みのある物語を求めるも、素晴らしい映像を追及するも、その2つの両立を目指すも、作り手の自由であり、素晴らしい職人芸には難癖をつけず称えるべきです。
この映画の映像はほんとうに美しく、その浮遊感は宇宙を疑似体験できるかのように秀逸です。キュアロン監督独特の長回しも相まって、その臨場感は過去にないものです。
たしかにストーリーは、2001年宇宙の旅のように哲学的で深みがあるわけでも、バック・トゥ・ザ・フューチャーのようにひたすら面白いわけでもなく、生きて帰るために必死になる登場人物をひたすら描くのみです。しかしこの映画の生を描くことに対する姿勢はとてもストイックで、地上に待ち人がいたりだとかの余計な描写が一切なく、宇宙という死の空間を漂う主人公の追体験をすることは、私にはとても面白く感じられました。

とにかく、「ストーリーが薄ければ全部ダメ」なんて狭い視野ではほんとうには映画を楽しめません。映画は総合芸術なんですから、構成する要素の一つにばかり目を奪われて、その作品の本当に良い部分を見つけられないのは、とてももったいないことだと思います。

目から鱗でした。

なんでこんな事に気付かなかったんだろう。
この人が言う様に 「映像は凄いけど、映画はストーリーが面白くないからつまんない。」なんて視野が狭かった。

あ、そっか。主役は映像=クリエイターでもいいのか。
クリエイターが主役になる時代が来るかもしれない。 

それに気付いた瞬間、このモヤモヤが「何」だったのかが明確にわかりました。

内容は満点。ただ邦題に異議あり

タイトルは「重力」か、せめて原題の「Gravity」のままにするべきだった。ラストシーンの“重力がゼロでない喜び”を感じるところがこの映画のハイライトなのだから。
それにしても映像、音楽、台本に演技、どれも素晴らしい、見る価値ある作品だと思います。アバター同様、映画の新しい可能性を見せてくれてしかも映画らしくおもしろい。

このレビューもハッとさせられました。

確かに、映画が始まってタイトルが流れた時にGravityって原題なのになんでZeroがついてるんだろう?と思ったんです。

gravity = 重力
Zero gravity = 無重力

確かにこのタイトルではかなり意味合いが変わってきますね…。

諫山先生のブログで、2013年見た暫定映画ランキングに3位に食い込んだ「ゼロ・グラビティ」。

普通のパニック映画とかだったら
窮地に立たされた主人公には帰りを待つ家族や恋人がいて
生きてそこに戻るために 頑張る、ってのが定石で
主人公が生きたい理由を具体的に提示し
共感させ、助かって欲しいと思わせるものがですが

この映画の映像だけではない独自性は
主人公の娘が死んでいて、生に執着しにくい状態として
設定してるところにあると思います

生きなければならない理由が個人的な感情の話ではないため
全体のテーマが「生命に行き着く話」といった
スケールのでかい話になってます

リアリティと寓話のバランスとか、テーマ性の高さから
ライフ・オブ・パイと似ている映画だと感じました

また、すごく主人公に共感しました
すごくハラハラして助かって欲しいと思わされたのは
序盤でたっぷり主人公と同じ恐怖を体験したからでしょう

登場人物に共感させる方法として、こんなやり方があったかと
勉強になりました

そして、映画館を出て吸ったO2の美味さよ

そうだ!これだ!

「絶対に地球に帰らないといけない理由がない。」

この部分の影響力が大きくて共感出来なかったのだと思います。

確かにこの映画は「頑張れ!子供が待ってる!地球へ帰ろう!」と涙ながらに映画を見る事はない…。

たったこれだけなのにストーリー性が感じられなかった。
地球に無事に帰れたのに感動が薄れてしまう。

諫山先生は序盤の恐怖体験で共感して入り込めた?みたいですが、私はあの部分は「宇宙飛行士を疑似体験してるみたいですごいなぁ。どうやって撮影してるんだろう?」って考えてしまいました…。(やや職業病ですかね^^;)

なるほど…。あの描写は主人公を自分を重ね合わせる為に必要だったりする訳なのですね…。
きっと3Dで見たらまた違ったんだろうなぁ…。
でも私は3D映画は苦手と言うか、目の前に何かが迫って来るのが怖くて見れません。
あと利き目があるみたいで、3Dって目が疲れちゃう…。

でもこの映画は3Dで少し見てみたい…かも?

レビューや色々思い返してみればこの映画は本当にリアルを追求していたのかもなぁ…。

無事に地球に辿り着いてからもすぐには私達観客を安心させてくれない。

宇宙→大気圏突入→宇宙船が燃えそう→湖(?)に着水。

燃えそうだから湖の水で消火出来るね!なんて思ったら、蓋を開けた瞬間入り込む大量の水に船内に押し戻されるライアン。

やっと地球に生還出来たのにまだハラハラドキドキ!

流れに逆らってやっと船内から脱出したと思ったら全く進まない。
むしろ沈んでいく。宇宙服が重くて沈む…。

急いで宇宙服を脱ぎ捨てるライアン。

気持ち良さそうに泳ぐ蛙が横切る。

ずっと宇宙にいたのだから筋肉が衰えていて動けないですよね?(テレビとかで地球に戻ってきた宇宙飛行士は車椅子に乗ってるのを見た気がします。)

だからきっと水の中を泳ぐのだって簡単な事ではないのでしょう。
必死で藻掻いて水面に顔を出し、息をする。

這いつくばって陸に上がる。

土を握りしめ 生を感じる。

宇宙(無重力)・空(O2)・海(水)・土(地球)、生に対するリアル。

色んな意味で自分の価値観を気持ちよくブチ壊してくれた映画で、視野が広がった気がします。

About the Author:


年会費無料のクレジットカードなら「楽天カード」